広瀬すず、櫻井翔主演探偵ドラマの映画版は、夢と現実が交錯するタイムリープと新技術空間の刺激。大事な役回りを務めた橋本環奈は?。
テレビドラマ版を先に視聴するのがおすすめ
本作は、テレビドラマ版(2021年、日テレ系)のネタバレからスタートするのでテレビ版から観たほうが良い。全10話あって長いけど。
※本記事ではテレビ版のネタバレはそのまま書くのでご容赦ください。
「新しさ」を取り込む意欲の一方、気になる点も?
初の「ゲノム編集ベビー」としてこの世に誕生した経緯を持つアンナ(広瀬すず)の悪夢と現実が交錯するタイムリープ風+サスペンス風。
次々と仲間が惨殺され夢で終わることが繰り返されるアンナの感じる不快さ、もどかしさ、気味の悪さを前半で追体験させられる。
テレビ版で「ゲノム編集ベビー」であることが明かされて以降が舞台とはいえ、全面的にアンナのドラマになっていた。アンナというちょっと変わった自由人に不安や憂鬱を載せる広瀬すずの細かい演技表現によって物語に説得力を与える。
意識をコントロールする技術を逆手に取って敵を出し抜いたり、拡張現実(AR)アクションやブロックチェーンを駆使した解決方法といった現代的〈少々SF的〉な設定と展開は、割と新鮮な刺激がある。
一方、「ゲノム編集ベビー」のデータを狙う「窓」(佐藤浩市)や実行犯の背後に黒幕が控えているという点は迫真性が今ひとつで、回収されない伏線やぶつ切りにされた要素はタイムリープだとしても消化不良。
そもそも敵の「窓」がなぜ「螺旋」をわざわざ示すのか。行動原理が謎でそこはどうもすっきりしなかった。あれ、「トマト」なんだっけ?
それから終盤手前のシリアスな流れで『あぶない刑事』パロディは悪手。元ネタの「悲壮感の否定」をそこで出してどうする。ネタ自体が押しつぶされて死んじゃっている。
眼光鋭い刺客役・伊澤彩織の本物感
敵の一人として出てくる伊澤彩織が『ベイビーわるきゅーれ』と打って変わって前髪アップにしているものだから眼光鋭さが際立っていて“刺客感”がすごい。加藤諒立ち回って大丈夫か、本気で殺されちゃうぞ。
橋本環奈の朋美その後
橋本環奈が演じる朋美はピンポイント登場。病気が進んで頭や胴体が動かせず、指だけで操作して動かす車椅子生活。アンナとの会話で悪態ついてみせる敗軍の将を自然に演じている。警察病院なのに髪色変わっちゃってビジュアル繋がっていないのが少し残念だけど。
まとめと評価点数
楽しめるけどパンチの効きが今ひとつなのはテレビ版と同様。とはいえ、レトロやオーソドックスにも振れたテレビ版を離れ、流行りもの〈もとい新しめの要素〉を貪欲に取り込み、ベタさを回避しようとした意欲は評価できる。
その分、“ネメシスっぽさ”(=おそらく監督の入江悠っぽさ)が薄まっちゃっている感もあるけど。銀幕でやる自信がなかったのかなあ。
【3.5】
2023年3月31日(11時50分の回)、映画館で鑑賞(客数約10名)。
作品データ・視聴情報
ネメシス 黄金螺旋の謎 | |
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種別 | 映画 |
製作国・公開年 | 日本 2023年 |
年齢制限(日本) | G(なし) |
出演 | 広瀬すず/櫻井翔/橋本環奈/真木よう子/勝地涼/大島優子/南野陽子/佐藤浩市/江口洋介 |
監督 | 入江悠 |