かんな座

“俳優橋本環奈”と映画・ドラマの味わい方

王様に捧ぐ薬指 第4・5・6話 - 健全展開に舵切った?

王様に捧ぐ薬指
王様に捧ぐ薬指

見えない悪女より、いい人環奈?。橋本環奈の主役が馴染んではきたけど、“路線変更”は吉と出るか凶と出るか。

やっと安定 環奈の綾華

第5話までに環奈の演技が安定。環奈に綾華の役が馴染んできて無事クリア。

その前の第4話でも高校生時代の回想シーンは良い。高校時代の神山坂東龍汰)との関係性が下地となって話が進行するのだけど、自身の美貌が引き起こす災難と偽りの態度といった深い表現ができている。さすがJK役は慣れたもの。

第6話にもなれば、もういきいきとしたもので依然として「悪女」には見えないものの恋愛的な役が様になってきた。

環奈イメージに合わせてソフト路線にシフト?

そんな中盤では、「悪女」「恋多き大人の女」には見えない環奈のイメージに合わせて「本当はいい人」「仕事できる人」「ちょっと健気」といったきれいめの役柄かつソフトな展開で無難に仕上げる方向に舵を切った感。

なんたって第4話のテーマが「初恋」。いい歳して〈今の環奈ファンに多い〉ティーン層に寄せてきている感じが、偽装夫婦ドラマにふさわしくないんじゃないのって思うくらい。

東郷(山田涼介)がなぜ綾華に好意を抱くようになったのかは不明ながら、綾華に降りかかる不幸(第4話)、東郷の悲劇(第5話)を経て、偽装夫婦から徐々に協力的な関係となり、さらには本当の夫婦になろうとする様を描いているんだけど、展開と演出がソフトタッチかつ純愛チックで、もっとうこうさりげない色っぽさが描けないものか。

イキたくてもイケない健全展開。汚れた大人には見事に刺さらない内容が夜10時台に放送されているのが不思議でしかない。ラブコメっぽくなってはきたけど。

美形ではあるけど“フェロモン”が出せていない環奈にハッとさせられることがないし、偽装夫婦ドキドキ感も弱いので他の部分に求めたくなるんだけど、ブライダルプランナーとしてのお仕事物語もメインテーマではないから描き方が表層的で、往年の連ドラなどと比べても迫真性が今一つ。

映像作りと演技がうまいだけでコクがない。薄いスープといった感じが拭えない。

それから、「ちょっと健気で本当はいい人」な環奈綾華の世界が一応完成されてきてはいるけど、演出担当が異なるので話ごとに雰囲気やテンポ感が違うなあと観ていて思う。

三角関係に期待するしか?

聞いていた話と違う感満載の本作。ソフト〈恋愛〉路線・ハートウォーミング〈お仕事話〉路線で行くなら、初めからこの原作をやる必要があったのかというそもそも話に行き着いちゃう。

第6話でついに動き出した“奪い屋”・神山。その裏で糸を引く松嶋菜々子)。三角関係と謀略が入り混じった〈王道の〉修羅場展開を終盤に向けて期待するしかない。

【ここまで3.0】汚れた大人の心は掴まない

作品データ・視聴情報

王様に捧ぐ薬指
種別 連続テレビドラマ(TBS系)
製作国・放送年 日本 2023年 (2023年4月18日 - 6月)
出演 橋本環奈/山田涼介/坂東龍汰/長尾謙杜(なにわ男子)/森永悠希小林きな子若月佑美/塚地武雄/利重剛/りょう/松嶋菜々子
演出 坪井敏雄/泉正英 /宮崎萌加