かんな座

“俳優橋本環奈”と映画・ドラマの味わい方

初舞台!橋本環奈12歳で出た演劇『ぺったりゆうれい』を発掘

ぺったりゆうれい
ぺったりゆうれい

黒柳徹子もジョン・ケアードも恐れない“演技派”橋本環奈の演技経験浅い頃に立った福岡の舞台は、風化させるにはもったいない躍進の土台を形作る大事な歴史の1ページ。『千と千尋』公演迫る中、本当の「初舞台」を発掘する。

(2021年1月に執筆した内容を校正の上初公開。)

kannareview.hatenablog.com

橋本環奈が2011年に出演した舞台を今どうやって観る?

結論からいうと無理。関係者内部で一応録画しているだろうが、それを観るのは相当コネを駆使しないとダメだろう。

でも環奈の映画・ドラマ・演劇は全部載せる方針の当サイトだから触れておかないわけにはいかない。10年前、12歳当時の環奈の舞台はどうだった?

歌ありダンスあり芝居あり 博多アイドル時代に立った舞台

児童劇団Pot Pokke」の公演第11弾『ぺったりゆうれい』。当時の所属事務所アクティブハカタプロデュース公演。福岡市立中央市民センターで2011年9月4日に上演された演劇作品。

東日本大震災福島第一原発事故発生の約半年後にして映画『奇跡』の一般公開から約3ヶ月後にあたる。環奈はまだ12歳、福岡市立城南中学校に在籍する中学1年生。

kannareview.hatenablog.com

この「児童劇団Pot Pokke」は、環奈が当時所属していた博多のダンス・ボーカルグループRev. from DVLメンバーも加わっていた。

ダンス、歌に加えて演技(※1)とまあ事務所による芸能人育成の側面が強かったのだろうと推察。

※1 日本の芸能人養成の場では志望に関わらず色々な事を習わせる

この作品で環奈は劇団員ちはるを演じた。

当時のチラシデータを入手できたのでテキストにして紹介してみる。

永遠のテーマ『命』。歌やダンス、笑いあり、涙ありの物語
戦時中のこども VS 現代っ子、幸せなのはどっちだろう?
児童劇団ぽっとぽっけオリジナル作品ぺったりゆうれい
作◎松石泉 演出◎伊集院晃生
児童劇団の子どもたちが公演合宿稽古である山村の廃校にやってきました。誰もいない学校なのに不思議なことが次々と…。実は、戦時中、この学校の校庭で遊んでいた子どもたちが空襲に遭い、『ゆうれい』となってさまよっていたのでした…。

ぺったりゆうれい
ぺったりゆうれい
Rev. from DVL秋山美穂四宮なぎさを含め、メインの出演者は19人もいて同じサイズの顔写真が上下左右に並んで載っている。環奈が贔屓されているわけでもなく、容姿が際立っているわけでもない。それがなんか今とギャップありすぎてずっこける。環奈が“一山いくら”なんだから。

風化寸前? 貴重な博多時代の記録を発掘

この頃のRev. from DVLは東京でいうところの地下アイドルに近いのでまともな記録がなく、もはや発掘困難なことも多くて、例えば環奈が加入してまもない頃のライブ動画なんかはYouTubeにあったけど今は削除されていたりする。

「奇跡の一枚」(2013年)以降の環奈ファンにとってはこの頃何があったのかすらわからない暗闇の中に等しく、今のファンコミュニティの中から言及されることはないのよ。

だからもうなんだろ、暗闇の中での人探しみたいなわずかな手がかりを元に探り当てて「えーそんな時代あったんだ」みたいな自分が生まれる前の時代を探っているような不思議な感覚にさせられる。

あるいは超マイナージュニアアイドルの中古品を探し求めている時のような大変さ。

たった一つ。鑑賞記を載せたブログが見つかったので、拝見して当時に迫ってみたいと思う。

mfluder.hatenablog.com

本当の「初舞台」での環奈の演技は?

ホールは500席あるようですが、日曜の遅い時間というのに、3分の2ちかく埋まっていて、にぎわわっていました。今回はこのステージ一回限りというのもあるのかも知れませんね。

演劇で満席はなかなかないにしても1回きりで3分の2とは。後の握手会の長時間対応や今の環奈ファンミが抽選制なのを考えると隔世の感がありすぎ。

タップダンスや歌、がっつり演技、笑い、涙、それらがバランス良く舞台に組み込まれています。そんなエンターテイメントを含みつつ、話しの核となるのは、現代の子どもたちと戦時中の子どもたちの飾らない心のやりとり。それぞれの子どもたちが、それぞれの境遇を胸に自分の考えをぶつけ合って、それでお互いを知り合うというところ。

芸を磨きつつ心の成長も遂げる。U-15タレントたちが見せる等身大の姿は頼もしくも微笑ましいのかもしれない。ここで鍛えられた環奈の現在地を考えるといいところで育ったんだなあと思う。

橋本環奈。初舞台?にしては、そつなくこなしていた印象。一方で無難さがちょっと面白くないようにも思えた。環奈ちゃんは舞台で周りが見えすぎてるのかなとも思う。役に入り込まないと深さは生まれないし、軽く見えちゃう。バランスって難しいですよね。まあ役どころの部分もあると思いますが。(mfluderの日記 2011年9月4日 より)

演劇の演技は映画と違うわな。あの是枝スタイルともいうべき自然体の後だからね。

シリアス演技の表現力を上げている今の環奈だけど、本気のミュージカルもあったらこの先面白いんじゃないかなあ。経歴を活かしたエンターテイナー環奈として。

売れる前の時代を黒歴史化する意味って本当にないよね。ここなくして今の環奈はありえない。いつか生で環奈のショーを観てみたいと思う。

作品データ

ぺったりゆうれい
種別 演劇
製作国・上演年 日本 2011年
出演 岡部来亜/松山優里香/西岡優菜秋山美穂/久保川友佑/四宮なぎさ/橋本環奈/今村美海/三木映莉香/松田成未/坂田ゆうき/松浦みる/安川敏貴/眞名子寧々/南菜々恵/権堂実花/野崎由真/大池怜士/古賀將嗣
演出 伊集院晃生