飛び跳ねて銃ぶっ放して標的をぶち殺す。ピンクボブ美少女殺し屋アクション。橋本環奈主演での実写化を初日鑑賞してみたら何かが足りない?!。乳は揉まれるの?。
※2022年8月28日までに内容・評価点数を修正しました
希釈されたハードボイルド
環奈演じる「ゆるふわ」な専門学校生にしてバイトで殺し屋をやっているケイは、容姿に似合わず素早くしなやかな身のこなしと卓越した銃さばきで多人数の標的を次々仕留めていく。
だが、頭を撃ち抜いたり、ナイフで首を切り裂くといったシーンでは、原作の直接的で凄惨な描写はややソフトな表現に抑えられている。
冒頭のお仕事アクションも派手にやってのけるがあろうことか人質救出だったことが後で判明したり。
おいおい殺し屋は正義の味方じゃないぞ。
仕事で出向いた裏社会の人々も肢体を切り刻む拷問なんてしないし、死にかけの敵をスーツケースに詰め込んだりしない。
原作の持つハードボイルドな世界観を薄めてしまっているのだ。
ケイなどのキャラ設定は基本的にそのままでストーリーとしては原作エピソードの基本部分をつなぎ合わせた長尺マッシュアップストーリーでヤクザ内部抗争という大きな流れが作られている。
これに偶然の出会いから始まるケイの淡い想いといった映画版独自のウェットな要素を差し込んでくる。
それじゃないんだよなあ。
ヤクザの金庫番・テラノ(杉野遥亮)とはバスでの偶然の出会いだなんてああなんて人畜無害な青春展開に成り下がっているんだ。ヤクザがバスに乗るか?。杉野くん顔も雰囲気も綺麗すぎて裏社会の人間には全く見えないぜ。
出てくるヤバい奴らと行為の残虐さに覚える嫌悪感と不快感。現実のすぐそばにあるらしい裏社会のぞっとするほど不気味でドライな世界…あの重苦しい余韻はどこへ行った。
何の気合いも入れることなく次々と標的のどたまに鉛の弾を食らわしていくケイの高度なギャップ萌え。
胸糞悪さの中にあるケイの癒やしと刺激というイカれ具合―。読者のダークな感情を喚起してはつかんではなさない《暴力ポルノ》な作品だったはず。
それなのにこの実写化は“安全な映画”にできあがっていた。
それでいてケイのお仕事アクションの大胆な動きは再現されているから、ハード要素が薄まったこの映画は、テーマ性が削がれたという意味でただの“危ない敵に挑むバトルアクション映画”、もっと言えば主人公の残酷さを《設定と演出面において》弱めた意味で“現代版チャンバラ”に見えてしまわなくもないなあと。
上映直前に「ハードな内容だから要注意だぞ」と心の声で自分に言い聞かせたことは無意味だったよ。PG12に偽りなし。
派手な格闘シーンを映像化しているが
ケイのジャンプや回し蹴りを多用するアクロバティックでスピーディーかつ激しいアクションは、環奈の身体の柔らかさを活かしながら、ケイらしさが映像的に再現されていた。
これで凄惨さや残酷さがモロに表現されていれば文句なしなんだが、ただそうなるとR15+必至だわな。
残念なのは「あまりに動きが速すぎて残像が見える」超現実的な描写。これだけはやりすぎだと思う。
そして、商店街や高速道路といった身近なところでのカーアクションが嘘っぽくなくて、超大作のようなスケール感はないけどこの作品としては正解。
あと展開と融合した音楽。大勢の相手をぶち殺すというイカれた空気にしっかりハマっていてこれは良かったと思う。
乳揉まれるか?環奈【半ネタバレ】
【半ネタバレここから】
ケイ、揉まれる。
しかしいつから貧乳になったのかと思うほどたわわな乳房感まったくなし。だから多分吹き替え(※別人による身代わり)だと思う。
いつかは本当に揉まれる役もぜひ。
【半ネタバレここまで】
環奈のケイは?
今回、アクション以外での環奈の演技、特に台詞は、屈託のない少女感(昔の言葉でいうとキャピな感じ)は出してなくて、環奈ウォッチャーには超絶既視感のある“標準的な子”設定っぽかった。
これは環奈が役作りの結果か演出側が求めたのかは知らないけど、これで良かったのかなあ。逆にわざとらしいのも変だけど。
テラノ対峙シーンでは、展開のユニークさがあんま伝わってこなかったねえ。
スター主演映画の宿命か?
ハードボイルド色を薄めたのはスター主演の万人向け映画にする以上仕方ないのか。
原作の設定はだいたい変えず(テラノもヤクザの金庫番という点は一切変えていない)、アクションの派手さを映像的に再現しつつ胸糞悪い描写を避けて地上波テレビで流せるレベルまで刺激度を下げた作品。まあ、気楽に観れば損はないかも。
【3.0】
2022年8月19日(21時45分の回)、映画館で鑑賞(客数全8名)。
作品データ・視聴情報
バイオレンスアクション | |
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種別 | 映画 |
製作国・公開年 | 日本 2022年 |
年齢制限(日本) | PG12 |
出演 | 橋本環奈/杉野遥亮/鈴鹿央士/馬場ふみか/森崎ウィン/大東駿介/太田夢莉/佐藤二朗/城田優/高橋克典/岡村隆史 |
監督 | 瑠東東一郎 |