橋本環奈が演じる赤ずきんはどう転ぶ?。おとぎ話のキャラが絶対出会ってはいけないストーリーはミステリ。
あらすじ
シンデレラとともに出席したお城の舞踏会で、思わぬ事件に巻き込まれた赤ずきん。12時の鐘が鳴る前に、この謎を解き明かすことはできるのか?
(公式より)
短くまとめるために強引に組み替えた感じがするけど一応紹介してみた。
童話キャラの謎解きは不思議な感覚
童話の世界で童話のキャラが矛盾に気が付いていき謎を解き明かそうとするストーリーは、細かいことを気にしてはいけないはずのファンタジーの中に論理が入り込み、誰もが知っている設定故に意表を突かれるというなかなかひねくれた展開になんとも不思議な感じを覚える。
その舞台である昔のヨーロッパっぽい森や民家、王様のいる城などをロケやセット、CGなどで映像的に再現しており、このあたりの童話完コピぶりは、『今日俺』や『志村けんとドリフの大爆笑物語』などでもみられたように福田監督の画のこだわりがすごく生かされている。
現代風ショートカットのキャラが出てくるもうまく話に組み込んでいるし、そういうテイストと受け止められる範疇。メインキャストの現代の結婚式みたいな派手なドレスはまあご愛嬌。
なぜか遺体がすぐに発見されたり、魔法が解けた姿でも「赤ずきん先生」と呼び止められたりするなどのツッコミどころはあるにはあるが、観終わるときっちり伏線を回収したミステリドラマだったなと断言できる。
環奈赤ずきんは食われ気味
赤ずきん役・橋本環奈の“役馴染み度”があともう一歩。シンデレラ役・新木優子を始め周りの役者に食われ気味。悪くはないけどキャラが薄い。
福田監督のカラーが弱めでオーバー演技を求められているわけでもない中、「引き算」演技を競った結果、他の役者との力量差が露呈してしまった。ナチュラルなだけで役の個性という味が染み出てないんだよね。辛辣な返しで受けを狙う場面では、赤ずきんというより「橋本環奈」が見え隠れしてしまうし、うーん残念。
それから序盤で仕草や台詞回しをみるに環奈は優雅な感じが似合わないのを(改めて?)思い知らされる。赤い衣装と赤髪、白肌のコントラストは息を呑むほど美しいのだけど。まあだからこその赤ずきん役なのかもしれない。
一方、死体と出会った直後の展開では「誰だこいつは」と思わず叫びたくなるような見たことない表情と声色を繰り出してくる。ほんと多彩すぎる表情で“未知のキャラ”を生み出してくる環奈とそれを引き出す福田監督には驚かされるけど、こうした予想外のコミカルスキルとキャラがもう少し噛み合ってかつオリジナルの味が出せていれば演技的傑作に近づいていた可能性はあったと思う。
まとめと評価点数
「ちょっと変わった」というタグ付けでありながらそつなくまとまっているというか突き抜けが意外とない。環奈赤ずきんのキャラの薄さも相まって、「どちらかというと会話劇〈ミステリドラマとしてみればオーソドックスな〉」になってしまった故の刺激の弱さ。
ストーリー面というか根本的な作品性というものにおいてもう少し「昔話」と「今どき作品」の化学反応にぶん殴られてみたかった気持ちは正直ある。
それから、おとぎ話のマッシュアップ故、前半1時間は文化祭の芝居(ただしプロの演技)をわざわざ観せられている感じがどうしても拭えないし、数回あるメタフィクションはうまくはまって良いアクセントになっているものもあるけども時折差し込まれる福田流ギャグは相変わらず面白くない。
まあ配信映画だから大作やマニアック作品といった両極端な映画を観すぎて飽き気味になっている人は変化球として観る分には悪くないかも。
【3.5】
2023年10月4日鑑賞
作品データ・視聴情報
赤ずきん、旅の途中で死体と出会う。 | |
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種別 | ウェブ配信映画(Netflixオリジナル) |
製作国・配信開始年 | 日本 2023年 ※全世界配信 |
年齢制限(日本) | 10+ |
出演 |
橋本環奈/新木優子/岩田剛典/夏菜/若月佑美/桐谷美玲/ムロツヨシ/加治将樹/長谷川朝晴/犬飼貴丈/山本美月/キムラ緑子/真矢ミキ/佐藤二朗 |
監督 | 福田雄一 |
現在観る方法 | 配信(Netflix) |