かんな座

“俳優橋本環奈”と映画・ドラマの味わい方

トクメイ! 第7・8・9・10・最終話 - 環奈の一円は?

トクメイ!警視庁特別会計係
トクメイ!警視庁特別会計係(サムネイルより)

ついにラスボス(?)と直接対決。“警察とお金”を描いた橋本環奈主演ドラマシリーズ最終盤、安心のネタバレなしレビュー。

第7・8・9・10・最終話の一言レビュー

【第7話】通訳できる人が少ない言語が鍵になる回。この情報化社会にフィクション言語を使うのはリアリティを削ぐ。事件の展開こそ基本を抑えていて良いけど、真に迫るような演出がなく、場面も少なく映像的にしょぼいので引き込まれない。環奈一円の弾ける演技が空回りしていて少し痛々しい。それから見せ場をつくる必要があったとはいえ、真犯人のメッセージがくどい。

【第8話】シリーズ通しての謎である脅迫者Xに迫る。終盤にきて演出も引き締まってきた。ところどころ危機感が弱まったりハートフルな要素の差し込みが気になるものの開始30分で緩急付けてきた。一円ちゃんの心がホームドラマ並みにきれいすぎるのとわかりやすすぎる展開は…どうかな?。

【第9話】一円と湯川沢村一樹)たちメインキャラのコンビネーションが馴染んできてつくづく本作の企画の弱さが惜しいと思える回。一を演じる環奈も特に今回はシリアスめの演技で深みが出ていて説得力がある。相変わらず絵に描いたような嫌なキャラを出したり、安っぽいコミカルシーンはあるけど、キーパーソンに襲いかかる危機という刑事ドラマに必要不可欠な刺激がやっと提供された感。

【第10話+最終話】最後までもつれ込んだ脅迫者Xの黒幕の謎その正体には驚かされる。しょぼい映像、ついにメタフィクションとして言及させてしまった緊張感の中和、そしてそもそもあまり興味をそそられない「経費節減」というテーマだが、脚本だけは手が込んでいる。2つの敵と同時に相対する一円と湯川班。最後に大暴れかと思ったが、お涙路線に。

やはり「警察署の統廃合の危機」は正直どうでもよく、感情移入できないよね。

シリーズ完走まとめ

既に序・中盤レビューでも指摘しているのでさらっと箇条書き。最終話まで観ても根本は同じだと思った。

  • 企画が甘い。ワクワクさせる要素が元から欠如している。エンタメとしては致命的な欠陥だと思う。
  • 主役のキャラ造形(設定)が甘い。主人公の魅力がこれほどまでに出せていないドラマも珍しい。役者任せのキャラ造りだとしたら環奈はまだ力量不足。
  • 演出がソフトすぎる。夜10時台ドラマってハラハラドキドキさせたらダメっていう法律でもあるのか、すぐ中和される緊張感。
  • 映像が貧乏くさい。映し出される舞台が少なく、部屋のセットなど奥行きのない映像ばかりでリアリティの足を引っ張っている。

そんな中、脚本テクニックで無理矢理乗り切り、帳尻を合わせた感じ。ありきたりな感じはあるが。

あとは環奈の普通の演技が比較的安定していたのが救いかな。

3.0】序盤で離脱されても文句言えない

作品データ・視聴情報

トクメイ!警視庁特別会計
種別 連続テレビドラマ(フジ系) ※全11話
製作国・放送年 日本 2023年 (2023年10月16日 - 12月25日)
出演 橋本環奈/沢村一樹松本まりか/JP/前田拳太郎/結城モエ福井晶一/米本学仁/前野えま/安藤嗣海/徳重聡鶴見辰吾佐藤二朗
演出 城宝秀則/光野道夫/河野圭太