修羅場を経て本物の夫婦になれた2人に待ち受ける試練は…意外と簡単?。橋本環奈主演偽装夫婦ドラマここに完結。
深刻展開は10分まで?
前回第7話で“本気の夫婦”になれた綾華(橋本環奈)と東郷(山田涼介)だったが、終盤では、出生の秘密、会社経営問題、同級生の刺客、東郷の母・静(松嶋菜々子)の妨害工作、そして〈2人にとって一番触れてほしくないこと〉が絡み合い、二人の仲が試される展開に発展。
困難な状況の中でくっついたり距離が生まれたり、王道ラブコメ路線をひた走る…といえばその通りなんだけど、「シリアス展開きたー」と思えばコミカルシーン切り替わり、意表を突くようなアクシデントも「どう乗り越えるのかな」と思ったら、あっさり終息。
その時間だいたい10分。
シリーズ全体の総括になってしまうけど、せっかくの複雑で深刻な展開もわずか10分でコミカルタッチだとか都合の良い展開という“中和剤”が投入されてチャラに。そんなのばかりが繰り返され、話を軽く感じさせている。
視聴者を10分以上ハラハラさせてはいけない法律でもあるのかってくらいシリアスが持たない本作は、まるでサビ抜きの寿司。
緊張感という辛味が見事に効いていないため、〈少なくとも大人が〉満足できるレベルに到達することがない。
シリーズ完走まとめ
恋にスリルがないのは時代の流れ?
10代の恋のような甘酸っぱさでもなく、かといって大人の恋の駆け引きの魅力でもない。おしゃれとも華やかさともちょっと違う。
「恋愛」ドラマじゃなくて「夫婦」ドラマだからか、環奈が演じる綾華やその家族など周りの人たちとライトでソフトな展開が作り出す独特の家庭的な雰囲気に毎回差し込まれる疑似イチャラブという不思議なドラマに仕上がっていた。
その出来は、少し前なら鼻にもかけてもらえなかったと思う。ストーリー上の綻びはないけど〈謎な設定と尻すぼみはあったが〉、あまりに安全すぎた。
心揺さぶられる展開ほぼなし。強いてあげれば第7話だけがなんとかましかなと思えるレベルなのに良い評判を耳にして驚いた。
恋はスリリングでショッキングでサスペンスだと思っている私の方がオワコンなのかなあ。
橋本環奈24歳、山田涼介30歳。2人とも恋愛ドラマど真ん中の実年齢で間違ってもキスやハグしたくらいでキャーキャー言われるような歳じゃないと思うが、今は時代が違っているのかもしれない。
独特キャラ作り出した橋本環奈 発展途上感も
環奈の演技は途中から良くなり、悪女になれなかった代わりに明るくて前向きな“環奈綾華”という独特のキャラを作り出したけど、まだまだ演技経験値増やさないといかんなーと思ったのも事実。
等身大の一般人役はこれからもどんどん取り組んでいってほしいと思う。
ところで環奈ちゃん、本作のビジュアルはなんかキレイ系というより親しみやすい系が加速しているなと思った。
それから誰も言わないと思うからあえて書くけど、場面ごとの説得力は山田涼介の安定した演技で支えてきた感がある。ただ、王様感(というかサディズム)、純情感どちらも突き抜けなかったのでまた色々言われそうではあるが。
【3.0】結局ファン向け疑似イチャラブ顔面偏差値ドラマの域を出られなかった
作品データ・視聴情報
王様に捧ぐ薬指 | |
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種別 | 連続テレビドラマ(TBS系) |
製作国・放送年 | 日本 2023年 (2023年4月18日 - 6月20日) |
出演 | 橋本環奈/山田涼介/坂東龍汰/長尾謙杜(なにわ男子)/森永悠希/小林きな子/若月佑美/塚地武雄/利重剛/りょう/松嶋菜々子 |
演出 | 坪井敏雄/泉正英 /宮崎萌加 |