かんな座

“俳優橋本環奈”と映画・ドラマの味わい方

今日から俺は!! 劇場版 - キャラ同士の掛け合い絶妙

今日から俺は!!劇場版
今日から俺は!!劇場版
満を持しての映画化。『今日から俺は!! 劇場版』。主演賀来賢人らの個性を活かしたキャラが炸裂。橋本環奈の二面性はもはや職人芸。難しいこと考えずに頭のネジを外してどっぷり浸ったもん勝ち、80年代ツッパリコメディアクション。あの懐メロが登場してやられた筆者の初日鑑賞レポ。

イントロ

今日から俺はつっぱる!」――時は1980年代。転校を機に、髪を金髪に変えてつっぱりデビューした軟葉なんよう高校二年生・ 三橋貴志(賀来賢人)。持ち前の運動神経とねじ曲がった性格で、たちまち周囲の不良達に目を付けられる。同じ日に転校してきたトゲトゲ頭の伊藤真司(伊藤健太郎)とコンビを組んで、次々やってくる強敵を返り討ちにしていく毎日。三橋と友達以上恋人未満な赤坂理子(清野菜名)や伊藤とラブラブな早川京子(橋本環奈)とのラブコメ的青春を謳歌したいのに、寄ってくるのはワルばかり…。
三年になったある日、かつて二人が壮絶な戦いを繰り広げた不良の巣窟・開久あけひさ高校の一角を隣町の北根壊ほくねい高校が間借りすることに。かなりの極悪高校で名の通った北根壊の番長は柳鋭次(柳楽優弥)と大嶽重弘(栄信)。彼らは、 智司 (鈴木伸之)と相良(磯村勇斗)という圧倒的な“頭”を失った開久の生徒に対して妙な商売を始める…。一方、怪しいスケバン・ 涼子(山本舞香)が 今井(仲野太賀)に近づき…。それは、「今日俺」史上最大で最凶の波乱の幕開けだった―! (公式サイトよりふりがな以外は原文ママ

キャラ同士の掛け合いは絶妙

主人公三橋の奇行や今井の大げさな反応など奇抜なキャラが連続ドラマ版よりもぶっ飛んでいて初めての人を置いてけぼりにしないか一瞬心配してしまうが、伊藤理子京子や今井の腰巾着・谷川、京子の相方・明美を加えたメインキャラ同士はもう慣れたもので掛け合いの間は絶妙。

橋本環奈演じる京子のヤンキー/ぶりっ子瞬間切り替え芸はもはや職人芸。伊藤と京子の斜め上を行くカップルなやりとりに客席から笑いが起きる。“ぶりっ子モード”の表情のかわいいことこの上ない。

三橋の持つネチネチとしたしつこいワルさは抑えめで、妬みが強烈かつ美味しいところだけ持っていく漫画チックというよりアニメチックな“コミカルヤンチャヒーロー”になっている。

かつての宿敵ツートップにまさかの期待感

悪い奴は犯罪レベルでとことん悪い。北根壊の連中はたかが高校生のツッパリなのにヤクザまがいの悪徳商法だったり、敵をナイフで刺しちゃったりとんでもない奴らだ。酷え、許せねえ。

こんなにわかりやすい展開だから、かつての宿敵・開久のツートップ智司相良も正義の味方として期待してしまうほど。卑劣なはずの相良に期待が高まる不思議な感覚。

そして、ありえないくらい大人数で大抗争。この流れは単純ゆえに爽快かもしれない。さあ、みんなで激しい立ち回りだ。

ちなみに福田作品の血のりは少し大げさで嘘っぽいことがあるけど今回はそうでもなくわりとリアルで安心。

80年代ツッパリモノとしての風情は薄いけど…

1980年代的な風情が連続ドラマ版よりも出ていないことやヤンキーのバカな日常的ノリが弱いのはもったいない気もする。でもこれはじっくり描ける連続ドラマ版と違って映画的迫力を追求した結果の勧善懲悪アクション重視なのだろう。

だからまさかの「ツッパリHigh School Rock'n Roll (登校編) 」が一番80年代的ツッパリのノリとグルーヴ感で本筋よりも曲が真のクライマックスに感じてしまうおっさん・おばさんホイホイ。

それからこれは連続ドラマ版も同じだが、演じる役者も内面からにじみ出る“ワルな感じ”がない分(栄進や一部の端役を除く)、演技力という技術、漫画をそのままなぞるような外見と俳優の特性を活かしたオリジナル設定で成り立たせている。

一方で福田作品にありがちなナンセンスギャグも行きすぎず、子どもから大人まで観る者を選ばないアクションコメディとしてそつなくまとまってる。難しいことを考えず、気楽に観るのが正解。

各キャラ別掘り下げチェック

橋本環奈の京子は

前述の通りコメディリリーフもいいところで本筋に絡まない。連続ドラマ版第1回のように本筋に絡む重要な役どころも観てみたいものだ。

ただ、アクションはドラマより上げてきてる。明美とタッグを組んで思いっきり切れの良い立ち回りを見せてくれる。

乱闘シーンをリアルにしている男

役者としてしっかりしているなと思ったのは相良役の磯村勇斗

乱闘シーンでカットがしっかり繋がった演技する。当然のことだからおかしな褒め方なのだが、半分やられても諦めずに戦い続けるシーンで、食らったダメージの段階をちゃんと踏まえた上で動くし喋るのだ。

その反面、大嶽役の栄進はそれがない。おい、やられたから逃げてきたのにやられていない状態に戻ってねえか。演出のせいかもしれないけど、それはないだろ。

開久の粋なシーン

やられっぱなしの開久の不良ども。北根壊の連中をやっつけるために、かつての開久の頭智司と相良になんとか戻ってきてもらおうと二人の仕事場へ頼み込みにいく。

だが、相良はかつての悪さに目をつぶって雇ってもらっている恩義から断るが、子分らは先回りして工場長に話しつけていてOKもらっていた。この工場長男の勲章!

相良「余計なことしやがって」

まんざらでもない。

工場長公認だ。派手にやれ!そいつはありがてえ(おっと違う作品だ)

智司の連続ドラマ版最後の登場部分といい、粋なシーンだと思う。

ちなみに終わりの方には原作との違いに応えるセリフ付き。智司にコメディ部分やらすなよ(笑)

映画館鑑賞記 感染症拡大のさなかに観るということ

今日から俺は!!劇場版
今日から俺は!!劇場版を観る
ドキドキもんだよ。このCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)のさなかに密集が避けられない場所に行くのは。東京で劇場集団感染が起きたばかり。劇場、フィットネスクラブ、夜の店、通勤列車そして映画館…そもそも密だから。

映画というものはどーしても最初映画館で上映しないといけないものなのか。こんな状況下では、値段高くしてもいいから封切りと同時にネット配信してもいいと思うんだ。

エンタメが人の健康を害するなんてことがあってはいけない。

本当なら出かけないつもりだが、できるだけ空いてそうな時間に行こうということで参上。

この映画館では、座席は一席ずつ間隔開けて発売され、「隣の人がいない」状態にしている。モギリも目視確認だけで触らないし、半券をちぎらない。マスク着用は必須でサーモグラフィー検温もやる。「36.2度」で合格!

12人くらいの鑑賞だった。よし、少人数。舞台挨拶中継(18時の回)避けてよかったかも。

それでも絶対大丈夫なんて言えないわけだけどね。

【3.5】

作品データ・視聴情報

今日から俺は!! 劇場版
種別 映画
製作国・公開年 日本 2020年
年齢制限(日本) G(なし)
出演 賀来賢人伊藤健太郎清野菜名、橋本環奈
監督 福田雄一
現在観る方法 配信、Blu-ray、DVD