深田恭子のお姫な雰囲気が禁断の関係を余計切なくする。イケメン夫の窮地を救い、悪を懲らしめろ。違和感なく年齢演じ分ける橋本環奈の探偵によって秘密が暴かれる?
第1話ガイド&ツッコミ
普通になりたい泥棒娘 深田恭子の若々しさ
出で立ちから容易に想像できるように普通じゃない泥棒、それも超有名なヒーロー的泥棒一家「Lの一族」。なぜヒーロー的なのか。それは泥棒でありながら悪いやつからしか盗まず、悪を懲らしめるからだ。
その一家の娘・三雲華(深田恭子)。なんと現職の警察官・桜庭和馬(瀬戸康史)を夫に持つ。この関係の経緯は前シリーズを観ていないからわからないけど、どうやら和馬はLの一族に助けてもらった過去があるらしい。
世間的には秘密にしないといけないけど、夫と普通の暮らしがしたい。
だけど親兄弟はみな泥棒。死んだことになってはいるけど毎日毎日お宝を盗んでくるの繰り返し。父でリーダー格の三雲尊(渡部篤郎)は高級ワインを嗜み(盗品だろ)、高そうな服(盗品だよ)を身にまとうどこかカッコつけた泥棒で金銀財宝から「妊活に効く」食べ物までどこからか頂戴してきてしまう。
「どこでもドア」みたいな超現実的道具を駆使しつつ悪びれる様子もなく明るく堂々とした態度で暗躍し、二世帯同居までしている親たちに嫌気がさしている。
夫にも迷惑かけるし、街も普通に歩けない。ああ、私はどうしたらいいの?。少女漫画かミュージカルか。実際に歌い出すし。メルヘンチックな主人公・華を中身も見た目もなりきる深田恭子に感服。20代で通るんじゃないの?。筆者と同世代なのにすげーや。
尊はコミカルなのに仕草が無駄にカッコいいのね。ワインを嗜む時の動作とか。普段の渡部篤郎がにじみ出るもんだなあ。
京都の名探偵少女 橋本環奈に違和感ない
一方、京都の中学生・北条美雲(橋本環奈)は代々探偵の一家。その年齢にして鋭い推理力を発揮し、大物探偵の祖父・北条宗真(伊吹吾郎)からもお墨付きを得るほど。だが、“推理の稽古”には飽きており、現場に出たくてしょうがない。
21歳環奈のJC役。最近の地味な雰囲気が逆に合っていて、違和感ないセーラー服JCにびっくり。環奈が実際に14、5歳の時はみんな知っての通りキラキラ輝きすぎていたから。
京都弁は全然ネイティブになれてないけど、アクセントはまあまあなんとかなっている。練習したな。あとはイントネーションだろう。反対に宗真役の伊吹は全くダメ。練習しろよ。
そんな流れで美雲が調べる京都・嵐山の殺人事件、和馬が追う「泥棒アベンジャーズ」窃盗事件、さらにLの一族が狙う「信長の秘宝」が絡み合っていく。
追い込まれてダークヒーローに“変身”
和馬に迷惑かけていることに悩み《泥棒一家の能力で》捜査に協力しようとする華。刑事としての信念から断る和馬。禁断の夫婦としてのすれ違いがドラマチックに展開するもそう単純ではなかった。
和馬はかっこいいことをいうが刑事としてはかなり脇が甘いのだ。
夫のためにももう泥棒はしないと誓う華だったが、自分の技能を活かさないといけない状況に追い込まれ、ついに“変身”。ボディラインが表れるタイツみたいなスーツを身にまとい、仮面舞踏会のようなマスクを付けた妖艶な戦士となる。どこかで見たような。
凶悪犯のアジトに突入。「ダダッ、ダダッ」と勢いのよいイントロで始まるサカナクションの楽曲「モス」はちょっと古いテイストで特撮ヒーローものみたいなクライマックスを予感。
家族は盗みを働きつつ、華はダンスのように流麗な立ち回りで悪を懲らしめる。決めポーズ的に悪人を突き飛ばす。
「ここで会ったが運の尽き。あんたが犯した罪、悔い改めな!」。
どこかで見たような悪人成敗カタルシス。
最初はやや受け身だった「か弱い」主人公が最後に輝く少女漫画的カッコよさのベタ感。ネタバレになるから書きにくいけどもう母性本能炸裂。
だけどあなたの記憶に残すわけにはいかない。最後のひねりがダークヒーローの宿命を物語る切ない余韻となって残る。
一方、京都の美雲には不幸な出来事が襲い、Lの一族に対する敵意を強めることになった。
悲劇と禍根を残して第2話へ続く!
第2話ガイド&ツッコミ
愛ゆえに一人親を決意
愛するがゆえに和馬を突き放した華は子どもをみごもっていた。自分と同じ思いをさせたくないから真っ当な環境で育てたいと早くも親心を見せる。死んだことになっているから偽免許証で母子手帳作ったり、中華料理店で働き始めた華は「この子は一人で育てる」と決意が固い。
和馬は来る日も来る日も元新居の前で華の帰りを待ち続けるのだった。
危うし!アプリで男を誘き寄せる橋本環奈のJK美雲
一方、京都から東京のお嬢様高校に特待生として入学した美雲。名門北条家を没落させたLの一族に恨みを抱き、仇を討つため執事・山本猿彦(我修院達也)と共に移住してきたのだった。元上流階級と京都人のプライドがボロアパートで炸裂。
膝上上げ気味のJK制服スカートからのぞく環奈の健康的な膝に『シグナル100』以来の安心感を覚える。※筆者の個人的な性癖です
そんな中、女子高生の失踪事件を耳にし、首を突っ込む名探偵美雲。どこかで聞いたような決めセリフを吐いて。いいのか。
聞き込みの結果、どうやらある男が事件に関与している模様。美雲は失踪女子高生が使っていた(男女出会い系の)マッチングアプリに偽垢を作って男を誘き寄せる大胆作戦に出た。
「はじめまして!
みぃです!
スナフキンが好きすぎてヤバイ!
あんな男性いないかなあ」
いるぞー。当然スナフキンだらけになる待ち合わせ場所。Lの一族の後方支援部隊・三雲渉(栗原類)まで。
その中で目星をつけた男は予想通り餌に引っかかり、美雲は見事潜入捜査へ…と、そう簡単にはいかないのが初現場。
この男、実はJK複数人を監禁し、性奴隷にしているヤバいやつ。美雲危うし。
同じ頃、Lの一族はこの男の正体を既に把握していた。和馬も同じ事件を追っている。見えない因縁で引き寄せられる美雲とL界隈。
男の別邸についていった美雲は、コナン君ばりの腕時計型通信機器で猿彦との秘密連絡はバッチリ…と思いきや、あっさりバレて手を縛られて他のJKと一緒に監禁されてしまう。
それにしても「弱い」演技もうまくなったなあ。レイプ寸前の恐怖におののく演技にリアリティがある。
絶対に真似したらダメなアクションがユニーク
Lの一族は、華の母・三雲悦子(小沢真珠)が欲しくてたまらないジャンヌダルクのマントが本当の目的だけど、この男に天罰を与えてやりたいと突入を決定。今後お腹の子をちゃんと育てていけるのか自信をなくしていた華もこればかりは計画に賛同。
知識を活かした美雲の機転で警察に連絡が行き、和馬の部署は監禁場所を把握。あれ所轄違わない?という突っ込みは野暮。
やがて和馬に解放されるJKたち。 この時、美雲の目には迎えにきた王子様のように映っていた。顔はよく見えないけど。
だが、それも束の間、またしても和馬の脇の甘さが仇となり、重大な危機が訪れる。
スナフキン姿で待ちぼうけの渉の代わりにリモートワークで後方支援するしかない身重な華。画面に映るのは、無抵抗の人間に鞭を振るう残虐な男の姿。
現場へ向かっているはずのLの一族実行部隊、三雲マツ(どんぐり)が運転する車はこんな時にガス欠で立ち往生。このままでは死人が出てしまう。
もはやこれまでかと思われたその時登場したのは一体誰?。
まさかの空間超越ダークヒーローが女を食い物にする悪人を鮮やかに成敗。
絶対に真似したらダメなアクションがユニークで爽快。
さて、和馬は尊から全てを聞かされ、ある決意を胸に前へ進もうとする。華のお腹の子どもは?
一方で解放された美雲は警察に対する不信感からいなくなってしまう。
窮地の基本構造が第1話と同じなのが残念な本話だけど、捕らわれリアリティは増している。
ジェットコースター展開で第3話へ続くぞー。
第3話ガイド&ツッコミ
子どもに世間に この秘密バレないで
無事会えた自分の子。やっと訪れた愛する夫と子の幸せな時間。過去の経緯から公安にマークされている和馬を案じて協力的な和馬の両親。華の両親も同じで目の中に入れても痛くない初孫かわいいフィーバー状態。杏と名付けられた娘は早くも泥棒の資質をのぞかせる。あっ、腕時計が。
だけど、「真っ直ぐに育てていく」との決意を新たにした華の思いを受け止めるかのように娘はすくすくと普通の子に育っていった。
8年の月日が経ち、年取ったLの一族(華以外)は相変わらず泥棒をやっている。華は杏(小畑乃々)のためと称してまで盗みを続けようとする父・尊らに泥棒一家であることを杏に絶対言わないよう念を押す。
杏に泥棒一家だとバレたくない華。 自分が泥棒一家の娘と結婚していることを隠さないといけない和馬。
そんな夫婦の思いも裏腹に次々と押し寄せる厄介な出来事。娘の授業参観さえも気を抜けない。よりによって「道徳」の授業を見に来る泥棒一家。うわまずいぞ的な展開にハラハラしちゃうけどそれはまだ序の口。
警察に潜入した美雲 「お姉さん系」環奈
和馬は数々の「実績」(?)をあげ、昇級してリーダーの座を奪うまでに出世していた。
そんな和馬の下に大人になった名探偵・美雲が配属されてきた。しかもホームズ風コナン君ファッションで!誰も指摘しないし、真剣な演技に浮きまくり。
美雲は出会って7秒で合体じゃなくて推理してしまう悪い癖を披露。脇が甘い和馬のこと。華と結婚している秘密が早くも危うい状況に。
Lの一族に復讐するために警察しかもLと関わりのある和馬の部署に潜り込めた美雲は、警察の無能さを改めて痛感する一方、リーダーの和馬がかつて犯人から助けてくれた(第2話)王子様的ヒーローだと気付けていない。思い出美化しすぎな名探偵美雲ちゃんだが、正体を暴くため和馬にある仕掛けをすることを画策する。
詐欺師を張り込む和馬と美雲。その陰で和馬のLの一族との関係の痕跡を探る美雲。隠しきれない愛妻弁当をつつけばタジタジに。和くんセキュリティ激甘だな。
それにしても環奈。和馬の腹を探るときの表情がもう駆け引きできる大人の女性のそれで色気が出ている。大人映像でいうところの「お姉さん系」になったな。 なのに見た目が「ホームズ風コナン君」だから画だけ観て「また環奈が奇抜なコスプレキャラやってる」と誤解されるのではないかな。
迫る身バレリミット 破天荒な展開が痛快
そこへLの一族がアンモナイト宝石を狙って詐欺師の家に出没。よりにもよってこんな時にと焦る和馬。美雲にバレないようにしないといけないが、どうする。
なんとか危機を回避し、美雲のコナン君ばりの仕掛けも失敗に終わるが、やがて聞き込みにより詐欺のカラクリが判明すると、和馬と華にとって一番不都合な事実が浮かび上がった。
事件解決のため先を急ぐ美雲。止めないと秘密がバレてしまう。しかし捜査の手を緩める指示なんて出せない。そのためには一刻も早く詐欺師自ら《証拠付きで》出頭させるしかない。迫る身バレリミット。
この緊急事態にダークヒーロー「Lの一族」がついに出動。封印を解き、詐欺師の前に現れる仮面の華。
「人を騙すのも大概にしな」
悪人成敗するもそれだけで済まないのが今回の任務。超現実的な道具を使って犯人をコントロールする破天荒な展開が実に痛快。
身バレハラハラに犯人はめる仕掛けはコミカルでさらには美雲の淡い恋心の切なさまで重ねて描いてしまう力技。カメラワークも躍動感あって良いし、スピード感あるクライマックスに思わず引き込まれる。
サカナクションの疾走感あるも切ないメロディの楽曲「モス」がすごく合っているな。
ついに人間関係が余計に動き出す。
複雑に絡み合う人間関係。
ドラマが盛り上がってきたぞー。
“ほどよい塩加減の創作料理”的ドラマ(序盤まとめ)
多くのパロディ詰め合わせで大人ほど既視感の連続。ただ、模倣はパーツにとどまり、キャラと設定が生きて独自の世界に仕上がる。創作料理のように。
日常延長線上の非現実を楽しむ大人のおとぎ話。泥棒一家に生まれた娘の愛と苦悩に比重をおいてちょっと加えるファンタジー要素。完全ファンタジーだと一定層を置いてけぼりにしてしまうし、あまり現実をなぞりすぎるのも刺激なくて退屈だからその加減が良いわけだ。
環奈は最初のシーンで京都弁の苦労からかセリフ追いかけてしまう昔の悪い癖が出ている以外、セリフ、表情、仕草などもう完全に美雲になりきっているから文句はないよ。年齢やコミカル・シリアスのさりげない演じ分けも。タイトル映像のような深刻な表情はうまいんだよなあ。
中盤へ続くぞー!
【3.5】
作品データ・視聴情報
ルパンの娘 | |
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種別 | テレビドラマ(フジ系) |
製作国・公開年 | 日本 2020年 (2020年10月-12月期) |
出演 | 深田恭子、瀬戸康史、橋本環奈、渡部篤郎 |
監督 | 武内英樹、洞功二 他 |
現在観る方法 | 配信(FOD)、Blu-ray、DVD |