かんな座

“俳優橋本環奈”と映画・ドラマの味わい方

1ページの恋 - 橋本環奈初主演ドラマでみる“夢と成長”

1ページの恋
1ページの恋
Abema TVの橋本環奈主演「純愛」ドラマ『1ページの恋』(2019年2月、3月)。全6話の一気観からわかったこの作品の味わい方。本格恋愛ドラマ初出演の環奈が気になる。あれ、何か忘れていないか?

環奈は期待に応える、倍にして

「恋愛に興味ない」なんて発言してからどれくらいか。本当にそういう噂もなく、経験あるのかないのか知らないけど、恋愛ドラマ出演が決まれば「恋愛している人は輝いている」なんて言えてしまうプロフェッショナル、環奈。

来た仕事は確実に結果を出す。期待には応える。ゲロだって吐くし、変顔もする。映画に引っ張りだこな理由は今更言うまでもない。

そんな彼女のことだから近い将来、求められれば女性向けにセックスについて語り出すんじゃないだろうか。経験あろうがなかろうが「セックスで綺麗になる」みたいな。ちょっと余計な心配している。

恋心を自然に演じる環奈

やはり間違いなかった。初の本格恋愛ドラマ主演。レベル上げてきた。内面的な演技をしっかり見せつけてきた。

『FINAL CUT』よりも格段に向上したな。安心して観ていられる。『警視庁いきもの係』で感じられた演技のムラもない。セリフもより自然になり、話す声に心地良さすら覚える。

今まで『銀魂』の神楽、『斉木楠雄のΨ難』の照橋心美といったように一風変わった役が多かったが、今回は“普通の若い女”。

経験ないかも知れないのにまっすぐな恋心を演じきる。想いが強い故に心傷付き、時には涙し、愛する気持ちをまっすぐ表す主人公あかりにしっかりなりきっているのだ。完全に新境地を開拓した。彼女はやはりできる人だ。

第1話の最後が圧巻。必死で彼を追いかける。

「あの日一緒に見ようって約束してたから。ずっと会いたかった。離れてても会えなくても忘れたことなんてなかった。」

もうこのシーンだけで光輝く恋愛ドラマの世界に一瞬で連れて行かれる。

白馬ドラマ(?)

ベースに見え隠れするのはメルヘンチック。少女漫画かはたまた「白馬の王子様」か。乙女チックな貴女がそのままの夢を見られるようなドラマ。

メルヘンチックな世界観に現実味を加えて嘘っぽくない恋愛ドラマに仕上げているといっていい。

主人公あかりを演じる環奈自身が「そげなことあるかいな」と言っちゃうくらい少女漫画のような“美しい”ストーリー展開。禁断の愛も取り返しのつかない憎悪などもない。純粋すぎて確かに「圧倒」される。

ずっと会わずに4年間経って21歳で再会ってすごく素敵だなと思います。再会シーンもすごくドラマチックで、「こんなことないだろ。そげなことあるかいな」という(笑)。同じCDを同時に手にとっちゃうくらいの衝撃ですよ(笑)。
(モデルプレス2019年2月1日 橋本環奈インタビューより)

流星群を見に行った離島でロマンチックな出会いをして恋に落ち、突き放されたりもして、3人の男から同時に告白され、結局誰と付き合うの?みたいな。まあなんて贅沢な。

「織姫と彦星ともう2人」かよ。

最後の最後で誰かと収まるんだが、相手のセリフで濡れてしまいそうだよ。男でも。

あかりは純真で直向き。純粋過ぎて突っ走ることもある。それ故に色々な出来事に巻き込まれるところがあって、それが物語のアクセントになってはいる。

キーワードだけ挙げると「借金」「潜入」「入水」「ヤクザ紛い」「他の女」「詐欺」など…

あかりはとても感受性が強く、恋をして泣いたり、笑ったり、日々の揺れ動く心模様は自作のノンフィクション漫画に表され、Twitterらしきサービスで広く拡散されて共感を広げていく流れが今時要素満載でしかも独創的。

その一方でとても大事な人生の晴れ舞台を途中で蹴って彼の待つところへひた走るなんてロマンスの王道クライマックスが用意されている。

環奈の2つの成長

好きな男の前でそんな目をするのか、そんなに想いにまっすぐなのか。

もちろんあかりになりきっているわけだがそこに等身大の女性がいて、それが紛れもなく「環奈」であって、ほぼ大人になった環奈の姿がそこにあり、“朝ベッドで目覚めたら隣に男”とか“キャバ嬢になって酔いつぶれる”など等身大の女性としてあり得る要素が年齢とともに色っぽさを伴ってきているわけでヲタとしては複雑な想いもするという作品でもある。

時が経つのは早いなと痛感する。

「彼女はどんな恋をするのだろうか」、「どんな夜を過ごすのだろうか」とふと思わずにはいられないドキドキのスパイスが散りばめられているのだ。

キスくらいは本当にしろよと思ったけど。

美しい映像と良い後味

映像的には美しい。島やフェリーでのロケを始め、低予算と思われる本作ながらふさわしい場所で撮影しているので安っぽさは感じない。郁巳板垣瑞生)の民宿なんて本物の民宿で撮影しているほどだ。

波瀾は起こるがドロドロ要素は弱く、救いようのない展開とか極悪な登場人物は一切出てこないソフトな内容なので暇つぶしに観ても後味悪くない。全6話だから一気に観てしまうのもおすすめ。

【3.5】

作品データ・視聴情報

1ページの恋
種別 ウェブ配信ドラマ(Abema TV)/テレビドラマ(テレ朝系一部局)
製作国・公開年 日本 2019年
出演 橋本環奈、板垣瑞生濱田龍臣古川雄輝
監督 本橋圭太
現在観る方法 配信

未来を知ってからの書き直しはずるいかも知れないが、当時思ったことのみをベースに再構成しました。日付は別サイトで最初に投稿された日付です。